スタッフコラム
大劇場
2008/09/01 — 第193号
年内で座席数1044を誇る新宿プラザが閉館になるそうです。座席数1000を超す大劇場は80年代から徐々に減っていきましたが、これで都内では新宿ミラノ1のみとなってしまいます。かつての大劇場ではいかにも「劇場」といった趣の内装で豪華な気分を感じさせるロビーがあったり、場内に入った瞬間その大きさに圧倒されたり、館名入りのパンフレットを手に入れる楽しみがあったりと「大劇場に行くこと」それ自体がひとつの楽しみとなっていました。シネコンが出来る以前から大劇場(及び中規模でもあった、いかにも劇場風な「2階席」)の衰退は始まっていましたが、今思えば81年閉館の日本劇場(日劇)の建替えが象徴的だったような気もします。●かつて銀座のランドマークだった旧・日劇はニューヨークのロキシー劇場を手本にしたと言われています。世界最大規模の6200という座席数を誇っていたロキシー劇場はパラマウント劇場やラジオ・シティ・ミュージック・ホールなどと共に規模と豪華さを競って作られた映画宮殿と呼ばれた劇場のひとつです。20〜30年代にアメリカで作られたこのような劇場では最高級の大理石の床や彫刻を施したウォールナットの壁などで贅を尽くしていて、その規模と絢爛さは日本の豪華な劇場の比ではなかったようです。贅沢が可能だった背景には人口増加と映画産業の隆盛があったのですが、アメリカでも作られたのはこの頃がピークで、映画産業の衰退と共に姿を消していきます。かろうじて残存するものは文化財として守っている物もあるようです。●できれば保存して欲しかった劇場は日本ではその多くがすでに無くなっていますが、どの映画を「どこで」見たかは記憶の中で一体となっています。
— 梅原浩二 検索
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