スタッフコラム
「おくりびと」
2008/11/01 — 第195号
私の場合、面白い映画や感動した映画は数多ありますが所詮は自分とは関係の薄い世界を描いたものが多く、自分の映画鑑賞リストにタイトルがひとつ増えただけ……、という作品がほとんどです。ところが些細なディテールであっても自分と映画との“交点”がみつかると、それはまるで自分のために作られた映画であるかのように思えることがあります。もちろん思い込みなのですが。■先日、滝田洋二郎監督の「おくりびと」を観てまいりました。遺体を棺に納める“納棺師”を主人公にした、ユーモラスかつ感動的な映画でした。この映画には最初に述べた私との交点がいくつかありまして、個人的にはちょっと忘れられない映画になりそうです。■この映画と私との“交点”のひとつが、主人公は父親の顔を、またその生死も知らないという点です。私の場合、映画の主人公のように怨讐を抱いているわけでもなく、全くの無関心でいました。が、私も後半生に入り、結婚し子供ができるとわが子のおじいちゃんの生死も知らないのも……、と気になってはいたのです。私にはこの映画のような劇的な再会(?)はありそうにないのですが、普段は考えもしなかった父親のことをこの映画を観てからいろいろ思ってしまいました。■ところでこの映画、主役の本木雅弘がイイ! この俳優はあらゆる所作が美しい。納棺師という職業は映画で初めて知りましたが、非常に美しい動きでプロの仕事を見せてくれます。本木雅弘は、2009年秋に始まるNHK「坂の上の雲」で、主役のひとり連合艦隊作戦参謀・秋山真之を演じます。凛とした明治期の人間をいかに見せてくれるのか、今から楽しみです。■10/13朝、父親役の峰岸徹さんの訃報を聞きました。ご冥福をお祈りいたします。
— 関口芳雄 検索
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