スタッフコラム
デジタルリマスター
2011/04/16 — 第229号
デジタルリマスター版を謳った映画の上映(またはソフトの販売)が色々と出ています。この言葉、何かとても有難味があるような使われ方がなされていますが、単に新しくHDでテレシネし、多少の調整をしただけのDVDやブルーレイのソフトでも「デジタルリマスター」だと言えますし、「羅生門 デジタル完全版」のように35ミリのフィルムに戻せる解像度で取り込み、1コマずつキズを消し、揺れを直し、コントラストや階調を修正し、さらに音声もノイズの軽減や周波数の調整をする等々・・・実に手間のかかる作業を施したものも同様に「デジタルリマスター」と言います。●確かに後者だと有難味があるのですが、「羅生門」の場合12万6000以上のコマ数を2種類のプリントからそれぞれ良い方を選び上記のような作業を行ない、制作費はなんと6000万円にも達しているそうです。リマスターといっても作業がそれぞれ違い、簡易なものもあれば上記の35ミリのフィルムに戻す前提での作業のように非常にコストがかかるものもあるのです。つまり「デジタルリマスター」を謳ったソフトが存在してもそれが即35ミリの上映用プリントがあるということにはならないのです。●ですので現在邦画では後者の意味でのリマスター版は数本しか有りませんし、基本的にこの作業はパソコンの画面をにらめっこしながら1コマずつ何をどのように修正し又は修正しないか等、その作品や場面を考慮しながらの手作業になるので今後も劇的にコストが下がることは期待できません。しかしながら将来的にはフィルムの保存にも物理的な限界があるので、多くの作品を高解像度でデータ化することを期待したいところです。勿論オリジナルのネガの保存が最重要ですが。
— 梅原浩二 検索
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