スタッフコラム

シー・ユー・アゲイン 雰囲気

2012/01/16 — 第247号

“雰囲気”と書いて、“ふんいき”と読みます。これを“ふいんき”と読む若者が増えています。私の娘の担任の先生(公立の小学校)も、“ふいんき”と読んだそうです。最近のケータイやPCの日本語変換プログラムでは、“ふいんき”でも変換できるものもあります。こういう迎合はまったくいただけませんね。■時代の“雰囲気”を切り取ってスクリーンに映し出すのが誰よりも得意といわれた映画監督がいました。昨年12月に亡くなった森田芳光監督です。商業映画デビュー作「の・ようなもの」を観たときは衝撃的でした。こんな映画を撮ってもいいんだ! と。そしてエンドロールの最後まで味わって席を立ったときの何ともいえない感じは、他の監督では味わえない独特なものでした。エンドロールで流れる曲は「シー・ユー・アゲイン雰囲気」といって、作曲は浜田金吾、作詞はタリモ。タリモとはつまり才人・森田芳光監督自身であります。そして尾藤イサオの歌声がまた泣けるのですよ。■当館ではトークショーをよく開催しますが、お呼びしていなかったのに来てくれたのが森田監督でした。旧文芸坐時代にオールナイトで森田特集を上映したところ、池袋で飲んでいたという森田監督が突然事務所に現われたのです。ぴあを読んで知ったとのこと。自分の特集上映はうれしいということで、ほろ酔いの監督は舞台挨拶までしてくれました。一緒に飲んでいたという桃井かおりさんと林真理子さんまで一緒に舞台に上がり、このサービスに客席は大盛り上がり。上機嫌な監督の姿を見て、映画館で働く身として自分も嬉しくなってきたのを憶えています……。森田監督、いつか新文芸坐のスクリーンで、シー・ユー・アゲイン。

— 関口芳雄 検索