スタッフコラム

『カンフーハッスル』→『ああ爆弾』

2005/04/01 — 第113号

『カンフーハッスル』はご覧になりましたか? 面白いですね。笑いましたね。今回チャウ・シンチーと共に市井の人々が大活躍しますが、私が最も気に入ったのは“半ケツ青年”でも“オカマ達人”でもなくギャング団。何故かと言うと、冒頭の“ダンス”がイカシていたからです。◆どのくらい前のことか、多分高校生の頃。洋画ばかり見て、根拠もなく「邦画はダサい」と決めつけていた頃です。入り浸っていたビデオ屋で、風変わりな題名というだけで手にした岡本喜八監督の『ああ爆弾』。いきなりの歌舞伎調のオープニングに何だこれは、と思っていたら一転、モダンな雰囲気の中でクセのある人物たちが右往左往、その軽快なテンポに身を乗り出したことを覚えています。そして運命のシーン。ヤクザの親分を迎えるために整列する子分たち……。こう読むと普通ですが、画面の中の子分たちは音楽に合わせて“ステップ”を踏んでいたのです。ミュージカルでもないのに踊っている! しかもヤクザが! 決して長くはないそのシーンに、私は雷に打たれたように感動しました。「観客が楽しめれば、映画は自由」、映画を観る際の私の大原則は岡本監督がこの時教えてくれたのです。と同時に他の岡本作品はもちろん、分け隔てなく“映画”を観出すきっかけともなりました。◆『カンフーハッスル』の踊るギャング団を観ながら当時を思い出したその一ヵ月後、岡本監督は亡くなりました。そして私は今、新旧・洋邦問わない名画座で働いています。5/21からの〈岡本喜八追悼特集〉の詳細は後程お伝えするとして、今は監督に「ありがとうございました」とだけ言わせていただきます。

— 花俟良王 検索