スタッフコラム
同じ轍を踏まないために
2007/10/16 — 第174号
つい先日の出来事です。電話で「新聞で見たのですが『雨に唄えば』は今日だけの上映ですか?」との問いに、そうですと答えると「ああ、残念。じゃ、結構です」ガチャン! ジーン・ケリーのファンかもしれず、せめて後日『錨を上げて』も上映しますよと教えてあげたかったのですが……。その電話の方は新聞には当日の上映作しか載らないことを知り、前もって知っていればと後悔したかもしれません。しかし今、既に同じ失敗を繰り返しているかもしれないことに気づいていません。近日中に、また観たい映画が上映されていることを新聞で知らされるという失敗を。■ウディ・アレンの『カメレオンマン』の主人公=ゼリグは、マルクス兄弟の映画が好きという設定でした。そして“マルクス兄弟が好きということは、自分の趣味が決して高尚ではないということを表明しているようなものだ。しかし気取らないその態度が周囲からは好感をもたれた……”という意味のナレーションが入っていたと記憶しています。マルクス兄弟の作品が公開当時どのように一般に受け入られていたか、少なくともウディ・アレンがどのように考えているかが分かります。今でも映画館で上映され、70年後のシネフィルの方々にも観てもらえるわけですが、公開当時のインテリたちには相手にされていたのでしょうか? そこで私は考えます。当時スラップスティック・コメディ(ドタバタ喜劇)を馬鹿にしていた人々と同じ失敗を、自分も繰り返してはいないか? ■「ブレードランナー」や「グレート・ブルー」は幸せです。公開時の不入りから再評価そしてブレイクまで、たった数ヶ月で済んだのですから。「実はイーストウッドは昔から好きだった」なんて言うのも、後出しジャンケンみたいでカッコ悪いですよね。
— 関口芳雄 検索
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