スタッフコラム

リュミエールの立体映画

2011/01/16 — 第223号

昨年フィルムセンターの「講演と上映 3D映画の歴史」に行きました。メリエスからヒッチコック、ソフトポルノまで実に多種多様な3D映画が上映されました。全てデジタル上映でしたが、3Dの方式は百花繚乱、フィルム一コマを縦に分割して両目二つ分の映像を収めるなど、オリジナルのフィルムで上映しようとすると、ひとつの方式につきそれぞれ専用の映写機を用意しなければならず、デジタル上映のメリットがおおいに発揮された上映会でした。●1935年にはリュミエールも3D映画を開発し、撮影された題材の中にはお馴染みの「列車の到着」もありました。まさか3D版「列車の到着」が見られるとは思わず、狂喜乱舞という感じでしたが、2D版との一番の違いはホームを歩いている御婦人方が、「やたらとカメラの方を見る」ということでした(ご婦人方はエキストラではなくたまたま居合わせたと思われます)。すでにこの当時には映画の撮影というものが一般の人にも認知され「カメラの存在がすごく気になる」ということなのでしょう。みんなジロジロとカメラの方を向き、しかも2D版より尺が長いため見ていて段々可笑しくなってしまいました。●肝心のリュミエール作品の「3D感」ですが、題材・作風としては2Dとの違いはあまりなく、カメラに向かって何かが飛んでくるという事はありませんでした。彼ら以外の作品の中には立体感を強調しすぎているものもありましたが、リュミエール作品の立体感は繊細かつ絶妙で空気感すら感じられました。これが機材の違いによるものなのか、被写体の選定や位置等の撮影技術によるのなのかは判りませんが、立体感についての繊細な比較が可能だということが分かっただけでも今回収穫がありました。

— 梅原浩二 検索