スタッフコラム

東日本大震災から1年3ヶ月が過ぎて・・・

2012/06/16 — 第257号

昨年の3・11東日本大震災から早くも1年3ヶ月が過ぎたが、政治、行政の対応が不適切のためか、復興の速度が異常に遅い。お客様とのロビーでの会話は、映画の話より震災に関する話題が多く、未曾有の災害を憂い、被災地に直接行きたいと話していた。■今年になってからは、原発事故による放射能のこと、夏季の電気のこと、電気料金値上げなどの認識を話すお客様が多くなった。多くの国民が、3・11の当初から気持ちがあるけれど何をしたらいいか分からなかったことが、この1年3ヶ月の間に各々の見解が確立されてきたように思う。■大震災直後は、芸能人たちが被災地に赴き、スクリーン、TV、舞台で知られているキャラクター通りの光景が報道されていた。最近ではタレント自身のキャラクターと相反する”反原発”の立場で、デモに参加する俳優・山本太郎や、歌詞に強烈なメッセージを託す歌手・沢田研二などの本音で発言する芸能人が現れた。■また、あるタレントと放送作家が、福島県いわき市に支援物品を届けるボランティア活動を行なった。甚大で悲惨な被災地に行く現実と、あくまでも自身のキャラクターにこだわるタレントの言動のギャップを、相棒の放送作家が冷静に観察して著した『F(エフ)』(松田健次・著、SALLY文庫)という本になった。■『F』は、多くの国民と同じように大震災直後からの被災地の報道に無力を感じながら、何とかしたいと現実と妄想を繰り返していた情景から始まり、試行錯誤の末に被災地に到着し、目的を達成するノン・フィクションである。大震災直後の被災地の模様が描かれ、被災地から遠い東京の混乱状況も分かり、映画に例えれば「ロード・ムービー」で、弥次喜多道中のような笑いもある楽しい本である。タイトルの『F』の意味を読み明かすと感動的であるのでお勧めする。

— 永田稔 検索