スタッフコラム

いまふたたびの、是枝裕和

2013/06/14 — 第281号

皆様ご存知かと思いますが、今年のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門で是枝裕和監督の『そして父になる』が審査員賞を受賞しました。個人的な映画史において、是枝監督は語るのに欠かせない映画人の一人です。■生まれて初めて一人で観に行った映画が是枝監督の『ワンダフルライフ』でした。『ワンダフルライフ』をご覧になった方はご存知でしょうが、この作品はフィクションとドキュメンタリーが融合した、「ふつう」の映画とはちょっと違う雰囲気の映画です。それまで映画といえば、ほとんどテレビで放映しているものしか観たことなかった中学生にとっては衝撃的でした。どうやら映画というのは何でもありらしい、という認識がこの映画によってしっかりと刻み込まれました。その後、当館で開催された是枝裕和ナイトで人生初のオールナイトを体験するなど、映画人生の節目で是枝監督がひょいと顔を出しているような気がします。■是枝作品で有名なのはやはりカンヌで賞を取った『誰も知らない』かと思いますが、私が好きなのは『DISTANCE』。オウム真理教の事件をモチーフに加害者遺族を描いた作品として語られることが多いですが、ミステリ好きにはミステリ映画にしか見えません。見え隠れする過去の断片と謎のピースが最後にぴったりとあるべき場所へ収まってゆくあの快感をミステリと言わずしてなんと言おうか!■そしてなんと! 是枝監督オールナイト企画が現在進行中です。詳細は未定ですが、手作りおにぎりが忘れられない『DISTANCE』や、枝豆みょうがご飯が食べたくなることで有名な『歩いても 歩いても』なども上映するかもしれませんので、お腹を空かせて乞うご期待!

— 小澤麻梨子 検索