スタッフコラム

DCP徒然 〜旧作とDCP〜

2013/05/28 — 第280号

前号でもお伝えしましたが、当館はデジタル素材であるDCP(デジタル・シネマ・パッケージ)上映対応のためデジタル映写設備を導入しました。テレビの“地デジ化”のように、上映も全てデジタルになってしまうの? と心配する方がいますが、従来通りフィルムの作品はフィルムで上映しますのでご安心ください。■ですが、旧作をめぐる上映環境にも変化が起こっています。6/1(土)からの特集〈木下惠介生誕100年祭〉で上映する『二十四の瞳』『楢山節考』『カルメン故郷に帰る』の3本はデジタルリマスター版&DCP上映です。“デジタルリマスター”というのはフィルムをデジタルデータに読み取って修復する作業の事で、今まではこのリマスターを施したものを劇場で公開するにあたって再度フィルムにしていたのですが、最近ではデジタルのままDCPで上映するケースが増えてきました。いまや全国ほとんどのスクリーンがデジタル化されており、もはやフィルムで上映することの方が稀になっています。このような環境では、上映素材として新たにフィルムが作られる事はどんどん難しくなっているのです。洋画名作のリバイバル上映で好評の「午前十時の映画祭」もこれまではフィルム上映でしたが、今開催されているものは全作DCP上映になりました。■また、木下惠介生誕100年プロジェクトの一環として、カンヌ映画祭での『楢山節考』の上映をはじめ、各国の映画祭での特別上映が行なわれていますが、字幕入りのフィルムをわざわざ作らなくても字幕のデータだけを加えればよいDCP上映は、他国での上映にも最適です。小津安二郎監督の生誕110年&没後50年プロジェクトでも『彼岸花』『お早よう』『秋日和』『秋刀魚の味』の4作品のデジタルリマスター&DCP化と共に、各国での上映が決定しています。■このように旧作の上映においてもデジタル化の波は確実に影響を及ぼしていますが、新旧洋邦問わずあらゆる映画を上映するという当館のスタンスに変わりはありません。

— 後藤佑輔 検索