スタッフコラム

大林監督から名画座へのメッセージ

2002/06/01 — 第45号

映画監督大林宣彦が文を書き、イラストレーター小田桐昭が挿し絵を描いた『五風十雨日記—日日世は好日2001—巻の一同時多発テロと《なごり雪》』(たちばな出版)という長い題名の本が、監督のサイン入りで送られてきました。明治31(1898)年創刊というローカル新聞の老舗中の老舗〈山陽日日新聞〉に連載していたエッセイをまとめたものです。◆〈人と語る〉〈旅に出る〉〈映画を作る〉からなり、歴史的世相感があったり、時事評論があったりと示唆に富んだ内容です。やや難しい用語がありますが、ルビが打ってあり読みやすく、監督の魅力的なバリトンが聞こえてきそうな感じがする楽しい本です。◆新文芸坐のオープン記念特集の中で監督の「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」の尾道三部作に「異人たちとの夏」の四本立でオールナイト上映した時に舞台挨拶をしていただきました。その時に感じられたことを「私説・名画座」と題して掲載されています。◆新文芸坐を名画座の老舗中の老舗と称してくださり、『名画座で上映される映画は“文化”であり、映画の“初心”に回帰するから映画作家冥利に尽きる』と書いています。身に余る光栄で、これこそ興行者冥利に尽きると言うものです。大雪の日で監督に大変ご迷惑をかけたのですが、そんな状況には触れずに……です。◆大林監督の優しいお心づかいは、新文芸坐に対する応援メッセージと受け止め、他の映画監督にも映画の“初心”に回帰できるような名画座らしい上映を心がけたいと思います。時々、二番館的な新作二本立ての番組を組み入れながら………。

— 永田稔 検索