スタッフコラム
黒木和雄監督に続いて今村昌平監督も逝く
2006/07/01 — 第143号
カンヌ国際映画祭で2度のパルムドールに輝いた今村昌平監督が5月30日に亡くなった。4月に亡くなった黒木和雄監督に続く訃報である。同世代の両監督は、共に“巨匠”と呼ばれるのに相応しい実績を残した。◆1926年生まれの今村監督、30年生まれの黒木監督は、青少年時代に未曾有の太平洋戦争に遭遇している。黒木監督は九州で、今村監督は東京で、日常生活を脅かす空襲を、そして敗戦を体験し、戦後それまでの価値観が180度変わった社会秩序の混乱した状況の下で、黒木監督は同志社大学で、今村監督は早稲田大学で学んだ。◆両監督の映画に共通していることは、青少年時代の戦争体験が色濃く反映されていることである。殺し殺されるという悲惨な戦闘場面はないが、生活する人々の悲しみ、苦しみ、笑い、愛、欲望など、時代に流されながらも懸命に生きる“さま”を描いている。◆黒木作品には、半世紀前の“あの時代”を二度と繰り返してはならないというメッセージが込められているし、今村作品は、戦後の闇市を体験したことで、人間を狂わせる“欲望”を正面から描いている。今、多発している金融証券事件は、拝金主義によるモラル無視の“欲望”の結果であり、現代人の心は、闇市の“あの時代”に逆戻りしてしまったようである。◆両監督は、いつの時代にも示唆を与えるであろう多くの名作を残した。また、後継者育成のために映画専門学校を設立した今村監督は、後輩に多くのメッセージを残したに違いない。その作品や言動を後世に伝えていきたいと思う。今年の夏恒例の特集《映画を通して戦争を語り継ぐ》は、急遽、両監督の追悼番組として8月5日から3週間上映する。
— 永田稔 検索
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