スタッフコラム
昭和天皇に関する二つの話題
2006/08/16 — 第146号
夏が来て、8月15日の終戦の日が近づいたこの時期に、昭和天皇に関する二つのニュースが話題になっている。一つは、A級戦犯合祀を理由に、天皇が靖国神社参拝を取りやめたとする元宮内庁長官のメモが見つかり、社会に波紋を起こしたことである。小泉首相の靖国参拝が中国、韓国との首脳外交断絶の原因とされているが、さて、今年の小泉首相の靖国参拝はあるのだろうか、興味深い。◆もう一つは、昭和天皇が主役の映画『太陽』の公開である。『太陽』は、昨年2月ベルリン映画祭で絶賛され、世界12カ国で上映されながらも、日本では“現人神”と崇められた天皇が主役の映画に、製作資金の投資もなく、配給権を買う会社もなかったが、紆余曲折の末8月初旬に公開されることになった。◆メガホンを執ったのは、ロシアの幻想派監督アレクサンドル・ソクーロフで、昭和天皇の終戦間際から人間宣言に至るまでの日常をフィクションとして描き、昭和天皇に寄せる慈しみと愛情に溢れた映画である。◆戦争という悲劇に翻弄される中で、小柄で優しい、飄々としてユーモアのある暖かな人間味の天皇を、苦悩と孤独と家族思いのひとりの人間を、イッセー尾形は細やかな動作にまで気を配った淡々と抑えた演技、静かな台詞と形態模写で、監督の意図を見事に表現し切った。イッセー尾形の名演技があっての映画『太陽』である。◆『太陽』の中の昭和天皇も、靖国問題も、太平洋戦争が根幹にある。北朝鮮のミサイル発射事件における、政府高官の敵基地攻撃容認発言は、今の社会状況が戦争の時代に向って動いているように思える。この時期、真剣に“戦争”について考えてみよう。
— 永田稔 検索
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