スタッフコラム

2007年を名実共に“日本映画復活”の年に

2007/02/01 — 第157号

小学生の頃観た時代劇映画で、悪者が正義の若者に向かって言う「ちょこざいな奴め」という台詞があった。前後の台詞から何となく意味は判るが、辞書を引いて「猪口才」と書き、「生意気な」という意味であると知った。本物の猪を見る前のことである。■今年の干支は亥年で、過去の亥年には一般的に悪い年が無かったと言われているようだが、映画業界はどのようになるのだろうか。昨年、劇場公開された邦画は、33年ぶりに400本を超え、興行収入でも21年ぶりに洋画を上回った。映画関係者は“2006年は日本映画復活の年”と喜んで新年を迎えた。■昨年の邦画は、個人向けファンド、町おこしにも広がり、資金調達が容易になり製作本数が増えて、単館系で公開された作品に傑作が多くなった(キネ旬ベスト10に6本入選)。拡大公開された作品で、テレビ局が製作に絡んだ作品は、マルチメディア戦略により、異種業界を巻き込んだ大量宣伝によって、観客を増やしたが、ベスト10入りはなかった。■一方、昨年の洋画は『ハリー・ポッター』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『M:i:Ⅲ』などシリーズの続編が多く、新鮮味に乏しく、観客の洋画離れを招いた。その結果、邦画に観客が流れてきたのであって、作品の内容が評判を呼んで観客が増えた訳ではない。“漁夫の利”によるもので、バブル的現象であり、手放しで喜んでいる場合ではない。■今年の洋画の主なラインアップも、昨年と同様のシリーズの続編の他に「ロッキー」「ダイハード」と続き、企画の貧困さに目を覆うばかりであるが、作品内容の伴わない邦画の実力を勘違いしていると、即、日本映画は観客から信用を失うであろう。今年は名実共に“日本映画復活”と言える作品を数多く観たいと思う。

— 永田稔 検索