スタッフコラム

新聞記事から思ったこと

2007/04/16 — 第162号

3月16日の朝日新聞夕刊に、クラシック演奏会における客同士のトラブルが急増しているという記事が載っていた。人気漫画『のだめカンタービレ』の影響で若者が押し寄せて常連客とトラブルになっているものと思ったが、事実その通りの模様。しかし記事の論点は少々角度が違い「最近の特徴はごく普通にみえるクラシック好きの常連客が、周囲の音や行動に過敏に反応し、突如キレる客に変貌する点」と書いてあった。◆そのことについて楽団側は、従来のファンが気付かないうちに自分の聞き方を他者に強要しているのかも、と語り、精神科医は、最近はヘッドフォンなどで“公”の空間で“私”を知覚でき、公共空間における五感が妙に潔癖になり自分の空間を侵されることへの不安が強くなっている、と分析していた。当然映画館も他人事ではない。◆不特定多数の人々が様々な価値観を持って集うのだから、一人の理想の環境が100%達成されれば他の人には少なからずストレスが生じてしまう。「少しの雑音にも邪魔されたくない」「このくらいの音はしょうがないだろ」どちらの主張も理解できる。どこに線を引き、どうすればより多くの人に快適に映画を楽しんでもらえるか日々模索している。◆上の記事によると、関西では“キレる”お客さんは少ないらしい。「やめえや」と人々が注意し合い、注意された方も不快感を引かないらしい。妙に納得できるが、かつては東京にもそれに似た義理と人情の風情があったはずである。◆そんなことを思った矢先に植木等さんが亡くなった。追悼番組で豪快に笑う植木さんを見ながら、またひとつの時代が終わっていくことを痛感した。

— 花俟良王 検索